日本はもとより世界中にコアなファンの多いパタゴニアの企業理念は
「地球を救うためにビジネスを営む」だ。
2019年に改変された。営利企業にも関わらず、ビジネスの目的が環境保護に
向けられており、あきらかにそのユニークさが際立っている。

 そして、日本の企業サラヤは企業理念として、世界の「衛生・環境・健康」
貢献することを掲げている。
サラヤはヤシノミ洗剤で知っている人も多いだろう。
ヤシノミ洗剤は来年2021年で誕生50周年を迎えるヒット商品だ。

 この2社に共通しているのが、社会貢献を柱とした企業理念だ。
この2社を事例に最強のマーケティングを考えてみる。

 まずは、アメリカの世界的アウトドア・アパレルメーカーのパタゴニアについて考える。
パタゴニアは、ロッククライミング愛好者である創業者のイヴォン・シュイナードが、
ピトンをつくり始めたことがはじまりです。

 ピトンはハーケンやペグとも呼ばれますが、岩の割れ目にハンマーで打ち込んで、
そこにロープをかけて安全を確保するための道具です。
当時ヨーロッパから輸入されていた軟鉄製のピトンは、アメリカの環境にはあまり
適していなかっため、イヴォンは自ら鍛冶を勉強し、鋼鉄素材で新しいピトンを作り
販売を始めたのがスタートです。
イヴォンの作った鋼鉄製のピトンは瞬く間に評判となり、70年代には全米シェア1位と
なるまでに成長します。
ここまでは実用性における課題を製品素材を変えることで解決し、成功した事例になりますが、
この後パタゴニアはさらに進化していくことになります。

 クライミング中に自社の鋼鉄製ピトンを使っている時、岩盤がボロボロになっているのに気づき、
自社商品が自然を壊していることにイヴォンはショックを受けます。
そして、主力製品であったピトンの販売から撤退することを決めるのです。
通常ならありえない決断に思いますが、この決断と行動がパタゴニアのブランディングに
大きな影響を与え、最強のマーケティングにつながっていきます。
ピトンから撤退し、岩盤の割れ目の大きさに合わせて押し込んで使うチョックの開発を始めます。
そして、イヴォンは新たに開発したチョックでヨセミテ国立公園のハーフドームを
実際に登ってみせました。
これ契機に、もちろんチョックはお客様から支持され、利益のみを追求するのではなく、
ビジネスを通して環境保護を実現していくパタゴニアのビジネスは多くの人に知られ成長していきます。

 そして、よく知られている事例をもう1つご紹介します。
それは1996年の100%オーガニックコットンへの切り替えです。
パタゴニアは自社ビジネスの環境負荷を正しく理解するために、1990年代初期にコットンの
サプライチェーンを詳しく調査しました。

 結果、天然繊維であるコットンを栽培するのに、大量の農薬が使われていることがわかり、
非常に大きな環境負荷を与えていたことが判明します。
調査結果から、広範囲に集中的に使用している化学肥料、土壌調整剤、枯れ葉剤、その他の化学物質が、
土や水、空気を汚染し、数多くの生物に対して多大な害を及ぼしていることがわかったのです。
そして、コスト面で大きな影響も想定される中、パタゴニアはオーガニックに切り替えるという決断をします。

 パタゴニアは、経営リスクを取りながらも農家のオーガニックへの転換を支援し1996年、
ついにすべてのコットン製品のオーガニックコットンへの切り替えに成功します。

 90年代の不況も影響し、1年目の売り上げは激減しとようですが、
翌年からはお客様の支持を得ることに成功し、売り上げも回復します。
オーガニック・コットンへの切り替えはみなが無謀だと思ったことでしたが、
お客様の商品選択において、環境と言う新たな軸を提供したと考えることができ、
この時、パタゴニアの最強マーケティングが確立されたと言えるでしょう。
その後、オーガニック・コットンを取り入れる企業は少しづつ増加していきます。

 パタゴニアは確固な企業理念の実行徹底的に追求し、ブランドを育てファンを育成した
モデルケースだと言えます。
宣伝広告による、ブランディング活動も重要ですが、ビジネスを推進することがダイレクトに
社会貢献へ寄与し、それが企業ブランドを育てるという縮図ができていることは、
まさに最強のマーケティングだと考えられます。
これからも企業理念を徹底し、ビジネスを推進していくことでファンを獲得し、
より強固なブランドを確立していけるでしょう。

第2話では、日本企業のサラヤを見ていきます。

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